ビブリオス
ビブリオス(Biblios)
【内容】
カード振り分けと競りのゲーム。
【簡単な流れ】
まずカードは、
・数字の書いてあるカードが5種類(5色)
・勝利点を操作するカード
・お金カード
の3つのカードがある。
各プレイヤーは、自分のターンになったら、山から1枚カードをめくって、競り用の山、相手が取る山、自分の手札のどれかにそれを振り分ける。
プレイするプレイヤーの数だけこれを繰り返したら、次のプレイヤーの手番。
山がなくなったら競りに突入。
競り山から1枚めくって、手持ちのお金カードを使って競りをする。
お金がめくれた場合、お金ではなく何でもいいので捨てるカード枚数で競りをする。
競り山が全部なくなったら、手札の数字の書いてあるカードのうち、1つの種類のカードの数字を合計して一番大きい人が、その種類の勝利点を獲得できる。(はじめはどれも3点だがカードで上下させることができる)
最終的に勝利点が多い人が勝ち。
勝利点操作のカードは、手に入れたら即座に使わなければならない。
【感想・レビュー】
テキストにするとわかりにくいルールのように思えるけど、実際やってみると極めてシンプルでよくできていると感じる。
プレイ時間が短いにもかかわらず、ダイスゲームほど軽くなく、適度にゲーマー向けであるように感じた。
であるにもかかわらず、非ゲーマーでもすんなりプレイできるほどにゲームシステムがシンプルで、ジレンマがわかりやすい。
とにかく面白い。
例えば、ドラフトゲームである世界の七不思議なんかは、できることが多く、カードの効果も複雑でかつ種類もたくさんあり、かなり熟知しないと長期的な戦略が立てられないためにゲームのジレンマがぼやけてしまうのが難だった。
このゲームは、ルールを理解すればひと目でどういう戦略をやってみたいと考えられるのがすばらしい。
ただ、その分ゲーム展開に幅はないように思える。
多分、毎回同じようなプレイングになる確率が高い。
それでも面白いと感じるのは、多分このゲームの面白さはボードゲーム的な面白さというより、トランプゲームのような面白さだからなんだろうなと思う。
大貧民やUNOで遊ぶときに、毎回同じような展開になることを問題だと指摘する人は少ないから、そういうことなんだろうな、と。
とにかく2人でも3人でも面白いので未プレイの人は一回遊んでみることをおすすめします。
【おすすめ度】
80/100
電力会社
電力会社(Power Grid)
【内容】
発電所、送電網、燃料を買いつつ、電力を供給して資金を得てゆくゲーム。
最終的に送電エリアが多い人が勝ち。
【簡単な流れ】
・発電所の購入
場に見えている発電所を手番順に選択して、オークションにかける。
・燃料資源の購入
発電所の購入手番とは逆順に、燃料を購入する。
・送電網の整備
発電所の購入手番とは逆順に、送電網を購入する。
・送電と収入
燃料を消費して送電し、送電した分だけ決まった収入を得る。
・発電所、手番、資源の調整
場に見えている発電所のうちコストの高いやつを山札の下に戻して、上から一枚出す。
持っている発電所のコストが高い順に手番を入れ替える。(一番高い発電所を持っている人が次のターン1番手)
購入して場から減っている資源を決まった量だけ復活させる。
というのを終了条件を満たすまで繰り返す感じ。
あとは、第一~第三ステップまであって、そのステップによって資源復活量が変わったり、一つの都市に送電できるプレイヤーの数が増えたりする。
【感想】
燃料が場から減れば減るほど高騰してゆくのと、一つの都市に供給できるプレイヤーの数に制限があるため、燃料の購入と送電網の整備は早い手番のほうが有利になる。
ところが、効率の良い発電所を持っているほど、これらが回ってくるのが後になってしまうためジレンマが発生する。
基本的に勝っているプレイヤーが不利になるような感じなので、1ゲームに長時間かかりはするものの、逆転不可能な状況になることが終盤までなく、なかなかだれない。
ただ、手番が変わったり、資源の供給量が変わったりなど、基本的な流れを把握したあとでもなかなか覚えられない細かい要素が多く、よっぽど慣れてこない限りマニュアルを確認しながらゲームを進行することが多くなるので、テンポはあまり良くない。
どの発電所を買うことができるか、という1点しかランダムな要素がないので、おそらくは熟練してくるとアブストラクトゲームに近いくらい上手い下手がはっきり現れるんじゃないかと思う。
ただ、そうであってもゲームの特性上、最終局面手前まで逆転不可能な状況にはなりにくいので、うまい人を相手にしても、何度やっても勝てる気がしないというようなことにはなりにくい気がする。
この辺りはやりこんでみないとわからないかな。(まだ10回もやってない)
面倒な点は多々あるものの、今までやったゲームの中ではかなり好き。
【おすすめ度】
75/100
数学で犯罪を解決する
数学で犯罪を解決する
キース・デブリン
ゲーリー・ローデン
【内容】
NUMB3RSというアメリカのクライムサスペンス系ドラマの中で、事件解決のために使われた(現実でも応用されている)数学的手法をわかりやすく解説した本。
【感想】
ドラマは一切見ていなかったので、中身についていけるかどうか不安だったけど、読んでみてそんな不安は吹っ飛んだ。
とにかく書いてあることすべてが面白くて、一気に読んでしまった。
指紋とかDNA鑑定にまつわる問題点の話とか、統計学の現実への応用をわかりやすく書いた本の中ではほとんど見たことない話が書いてあるのがものすごく新鮮だった。
一つの数学分野を集中的に解説しているのではなくて、広く浅くいろいろな手法を解説しているのも良かった。
専門書ではない一般向けの数学の応用を紹介する本としては最高の部類に入るんじゃないかと思う。
それくらい面白いし、わかりやすい。
もっとも、数学に強い人やこの手の話を知っている人にとっては専門的な内容にまで踏み込んでいないのが物足りなく感じるかもしれないなとは思った。
ただ、訳者あとがきで訳者による各分野の参考文献が挙げられているんで、物足りなかったり、興味を持ったりすればそっちにあたることもできる。
久々の大当たり本。
ブーメラン 欧州から恐慌が返ってくる
ブーメラン 欧州から恐慌が返ってくる
マイケル・ルイス
【内容】
筆者がアイスランド、ギリシャ、アイルランド、ドイツ、そしてアメリカの地方自治体を取材し、財政破綻前後の中のそれぞれの立場や文化的背景に迫った本。
欧州危機についていろいろな切り口で書いた本というより、財政危機にある国や自治体について取材した本という感じ。
【感想】
マネーボールで有名なマイケル・ルイスの本ということもあって、内容云々ではなく面白い読み物として期待していたんだけど、読んでみると結構固めの本。
金融について学部卒程度の基礎的な知識がないと読みづらいんじゃないかと思う。
翻訳らしい強烈な言い回しが多々あって、文章自体がたまに読みづらいかなと思うところもあったけど、糞にまつわる多様な言い回しからドイツの国民性を見ようとするとか、そういう感じの皮肉やジョークがマイケル・ルイスっぽくて、内容自体はマイルド。
アカデミックな分析というよりはエンタメ寄りのルポルタージュという感じで、マネーボールみたいな軽さはないけど、決して内容カタくて読みづらいということはない。
冒頭で日本の債務について触れているけど、それ以降は特に話に挙がらず。
日本も取材して欲しかったなと思った。
キング・オブ・トーキョー
キング・オブ・トーキョー
【内容】
怪獣になって東京を破壊する(と得られる勝利点を20集める)か、他の怪獣(プレイヤー)をすべてやっつけたら勝ち。
【簡単な流れ】
自分の手番に「1、2、3、攻撃、回復、エネルギー」の6面ダイスを6個振る。
好きな目をそのままにして、残りを2回だけ振り直せる。
1、2、3の場合3つ揃うと揃った数字の分だけ勝利点。4つ以上出ると1つにつきさらにプラス1点。
攻撃の目は、自分が東京にいる場合、他のプレイヤー全員に出た攻撃目の数だけダメージ。
東京にいない場合、東京にいるプレイヤーに同じくダメージ。
東京に誰も居ない時に攻撃目を出した場合、ダメージは与えずに東京に入る。
回復は、出た目の数だけ自分が回復(ただし東京にいる場合回復できない)。
東京に入ったら勝利点1を得る。東京に入った状態で自分ターンを迎えると勝利点2を得る。
攻撃を受けた時、東京から離脱することを選べる。そうした場合攻撃したプレイヤーが入る。
回復の目は出た数の分だけ回復できる。
エネルギーは出た分だけエネルギーキューブをもらえる。
これを消費して場にある特殊効果のあるカードを買える。
例えば、キューブ5個で買える「装甲」は持ってると丁度1のダメージを無効化できる、とかそんな感じ。
例:「2、2、2、2、回復、エネルギー」の場合
東京に居ないなら、勝利点3(3つ揃って2点+4つ目の1点)を得て1回復し、1個エネルギーキューブをもらう。
東京にいるなら回復はできない。
例:「エネルギー、エネルギー、攻撃、攻撃、攻撃、1」の場合
自分のいない場所にいるプレイヤーに3ダメージを与え、2個エネルギーキューブをもらう。
1は一つしかないのでなにも起こさない。
【感想】
初プレイは5人。
題材が面白くて、メンツによっては特撮っぽいノリの会話がかなり盛り上がるのが良い感じ。
ダイスゲームなんだけど、選択する目だとか買うカードだとかにプレイヤーの個性が出て来る感じで、ダイス運だけな印象はあまりなかった。
ただやっぱダイスゲームなのでプレイ感はかなり軽い感じで、じっくりやりこむゲームではないかなと思った。
個人的にはカルカソンヌくらいの軽さ。
3人プレイもやってみたけど、こっちのほうがトーキョーに入りやすくて良い感じ。
(5人だと再度自分のターンが回ってくる前に瀕死になって撤退せざるを得なくなることが多い)
【おすすめ度】
70/100
カルカソンヌ
【ゲーム内容】
自分の手番に地図の断片のようなタイルの山から無作為に1枚引いて、それを地図として矛盾のないようにつなげていくのが基本の流れ。
タイルを置くときに建築物の所有権を主張するコマを置くことができ、自分がコマを置いた建築物が完成すると自分の得点になる。
得点が高いほうが勝利。
【感想】
ルールが シンプルで、適度な運の要素もあって、2人でやっても5人でやってもそこそこおもしろいというよくできたゲーム。
当然ながら、人数が増えれば増えるほど運ゲーの度合いが増す。
1VS1だとかなりガチな妨害戦になり、アブストラクトではないけど、それに近い感じになる。
自分としては4人対戦が一番好き。
あと、中盤以降、引いてきたタイルによっては選択肢が多くなりがちで、長考するプレイヤーがいるとだれる。
砂時計等を使って一手に時間制限を設けるほうがいい。
草原の点数計算が面倒なので、ゲーム慣れしてない人にルールを教えようとすると面倒臭がられる可能性がある。
やっぱ評判がいいだけあって全体としてはかなり面白い。
タイルの引き一つでかなり展開が変わってくるため、ドラマが生まれやすく仲間同士の会話が弾む感じがする。
プレイ時間もそんなに長くないので重量級の合間にやるのが良い感じ。
【おすすめ度】
70/100
統計という名のウソ―数字の正体、データのたくらみ
統計という名のウソ―数字の正体、データのたくらみ
ジョエル・ベスト
【内容】
統計リテラシーに関する啓蒙書。
統計を作る人間の意図や、解釈する人間のバイアスなど、人間が関わっている部分について一歩引いて考えろということを、いろいろな実例を挙げながら紹介した本。
【感想】
内容は当たり前といえば当たり前なので、読みながら再認識させる感じだった。
あえて一部の期間の数字だけ切り取って自分の主張を強化する、みたいなよくある統計の話は当然紹介されているけど、悪意がないのに生まれるまずい統計の話も結構あって、この手の話をあまり意識したことがない人にとっては面白いと思う。
著者がアメリカ人なのでアメリカの話が大半で、だからこそそこが面白かった。
大学ランキングの話とか、人種プロファイリングの話あたりはかなり新鮮に読めた。
あと、この本で気になった点は、英語から訳されたんだと一目でわかるような表現-特にこのような横線でくくった注釈-が多いということ。
たまに読みづらいなと思ったけど、翻訳ものでもっと読みづらい本は大量にあるからただ線でくくる表現の多さが気になっただけかも。
アメリカンジョークみたいなまわりくどい表現もないし、全体的には読みやすい本だった。